gooブログから引っ越してきました
もとは漢検ブログ、今は主に古典和歌に関する話題を投稿しています
(旧ブログ名 「漢検一級 かけだしリピーターの四方山話」)

クラシック音楽や、放送大学大学院での学びの話題もときおり ^^

土佐日記 二月八日

(原文)

 八日。なほ川上りになづみて、鳥飼の御牧といふほとりに泊る。今宵、船君例の病起りて、いたくなやむ。

 ある人、あざらかなる物持て来たり。米して返りごとす。男どもひそかにいふなり。「飯粒してもつ釣る、とや」。かうやうのこと、ところどころにあり。今日節忌みすれば、魚不用。

 

 

(口語訳)

 八日。引き続き川を遡り、鳥飼の御牧というあたりに泊まる。今宵、船主のいつもの病が生じて、たいそう辛そうである。

 ある人が、新鮮な魚を持ってきた。お米でお返しをする。男たちがひそかに言う、「世間では、飯粒でむつを釣るというではないか」と。このように、ものとものと交換するようなことが、他の場所でも時々あった。今日は斎日なので精進のため魚は使わない。

 

「鳥飼の御牧」

 現在の大阪府摂津市鳥飼。御料牧場があった。

 

「例の病」

 持病、ということと思われますが、ここまでの日記にこれに言及した箇所はありません。船酔いのこと、という解釈する向きもあるようです。

 

「あざらかなるもの」

 漢字では「鮮らかなるもの」、つまり新鮮なものという意味ですね。あとに続く文章から、ここでは具体的には新鮮な魚であることがわかります。

 

「節忌」

 「せちみ」。一月十四日にも出て来ましたが、毎月の斎日(さいにち。 8日、14日、15日、23日、29日、30日。)に精進潔斎することをいいます。